003 住宅から聞こえてきた子供の遊び声に「幸せとは?」のヒントが

お遍路の旅1日目。

その日は天気予報どおり、雨になった。

朝からしとしと降り始めた雨は、昼頃にはざぁざあ降りに。雨の装備として準備してきた「モンベルのトレッキングレインポンチョ」を身にまとった。まだ歩きの旅に慣れていない上に、雨の装備の取り回しがぎこちない。

歩くペースが掴めずに僕はけっこう焦っていた。

とはいえ、雨に濡れた里山の風景のみずみずしさよ。

きれいな空気を吸い込むにつれ、昨日までの忙しい生活が僕の身体から剥がれ落ち、やがて心が解放されていくのが分かる。もうあんな慌ただしいだけの日常に戻らなくていいんだ、などという根拠のない喜びにワクワクしながら、歩く歩く。

歩き疲れて休憩していた時のこと。

近くの民家から子供の遊ぶ声が聞こえてきた。
ドタバタドタバタ、キャーキャー。

兄弟で家の中を追いかけっこして走り回っているのだろう。静かな住宅地の中、その「ドタバタ、キャーキャー」は、やけに大きく響き渡っていた。
大人は「こらーっ。静かにしなさーい。」と叱ってしまいそうな場面である。
こちらから子供たちの姿は見えないが、ほほえましい光景が目に浮かんだ。

これって、幸せのひとつのかたちなのかもしれないな。

少しぐらい騒がしくたっていいじゃないか。元気でのびのびと育ってほしい。姿も見えないよその家の子供たちにそんなことを思ったのは、初めてだったかもしれない。

子供たちのすることに、大人があれしちゃだめ、これしちゃだめ、と言うべきではないのではないか。大人の「こうあるべき」という偏った価値観で、子供たちの行動を抑えつけるようなことはすべきではない。
僕は、我が子たちのことを思い出しながらふと考えた。

子供たちの声に耳を傾けよう。

ひとり、温かい気持ちになった。
このままずっとここにいて、この声を聞き続けていたいと思った。

空が明るくなって雨も小降りになってきたし、明日はいい天気になるかもしれないなぁ。と思いつつ今日のお宿まであと数キロ、すっかりいい気分になってまた歩き出したのだった。

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